水素貯蔵材料先端基盤研究事業

トップページ > グループ紹介 > 計算科学グループ

計算科学グループ

計算科学的手法に基づく水素吸蔵材料の特性評価とメカニズム解明に関する研究

 

目的

計算科学的手法を用いた解析により、水素貯蔵材料の特性向上のための理論的指針を得ることを目指します。そのために下記のような研究および開発を行います。

  • 第一原理計算による水素貯蔵材料の特性評価
  • 古典動力学による水素貯蔵メカニズム・構造安定性の解明
  • 新規水素貯蔵材料の探索
  • 実験との連携(結果解釈・推定値提供)
  • 計算手法の整備・開発

 

研究内容 (最新情報・動画はこちら

1. 第一原理計算に基づく水素貯蔵材料の特性評価に関する研究

imageNo.1  分子軌道法、密度汎関数法、経路積分法などの第一原理的計算手法を用いて、合金系、カーボン系などの種々の水素貯蔵系における水素吸蔵サイトや電子状態の解析を行います。 特にゼオライト鋳型炭素について、実験グループ(項目5)と連携しながら、置換元素の影響、構造と水素吸着サイトの関係、水素吸蔵/放出過程、有限温度でのダイナミクスなどに ついての解析を行い、水素貯蔵特性の向上を試みます。

 

2. 水素貯蔵メカニズムに関する分子動力学的研究

imageNo.2  古典分子動力学を用いた解析により、第一原理計算で扱うことのできない大きな時間空間スケールでの水素貯蔵メカニズムの解明を目指します。 水素貯蔵材料に含まれる様々な格子欠陥(点欠陥、転位、粒界、表面など)と水素原子との相互作用メカニズムをシミュレーションによって解析し、 水素貯蔵・放出に関する材料組織の役割と変化を明らかにします。

 

3. 水素貯蔵材料の構造安定性に関する分子動力学的研究

imageNo.3  水素貯蔵材料の構造安定性を議論する上で、静的エネルギー論のみならず動力学的効果を含めて検討を行うことが重要です。 我々は第一原理計算および分子動力学計算をもとに、水素貯蔵材料における構造安定性と水素の拡散過程を原子レベルで解析します。 水素貯蔵による金属格子の弾性論的不安定化の問題、貯蔵水素の相転移問題なども扱います。また動力学的過程を理解するために、コンピュータグラフィックス技術を応用します。

 

4. 新規水素貯蔵材料のシミュレーション探索研究

imageNo.4  CS-II構造のクラスレートハイドレートが200MPa,234Kの条件下で4.96wt%の水素吸蔵能力をもつことが示されて以来、水素クラスレートハイドレートは水素吸蔵材料として注目を集めています。 ガスハイドレートにはケージ形状の異なる様々な構造があることが知られています。水素吸蔵材料としてガスクラスレートを実用化するために、理論的に、 この材料の安定領域と吸蔵可能な水素濃度を広い圧力、温度領域で把握します。

 

5. ゼオライト鋳型炭素をモデル物質とするスピルオーバー水素貯蔵メカニズムの
解明

imageNo.5  「物理吸着+スピルオーバー」の水素貯蔵方式には大きな可能性があります。本研究開発では、計算科学を用いてこれまで不明であったスピルオーバー水素貯蔵のメカニズムを解明します。 計算結果の実測値との整合性は、「ゼオライト鋳型炭素」(右図)を用いて確認します。この炭素は活性炭などの複雑で乱雑な構造とは全く異なり、分子構造の明らかな規則正しい 炭素骨格から成る物質であるため、計算科学で取り扱う材料として理想的です。

 

6. 水素貯蔵物質の動的挙動解析と電子状態

imageNo.6  水素貯蔵物質における水素の動的挙動を第一原理分子動力学シミュレーションにもとづいて解析し、水素貯蔵・放出の微視的機構を明らかにします。 これまでに、非金属系水素貯蔵材料として注目されているリチウム水素化物とアンモニアとの反応による水素放出過程の動的挙動を明らかにしました(図参照)。 さらに、アルカリ金属水素化物・アンモニア系について、アルカリ金属の違いによる水素吸蔵・放出特性の違いを系統的に明らかにするとともに、触媒、表面の酸化についても調べます。 また、ボロン、アルミニウムを中心とした他の非金属系についてもその微視的構造・動的挙動の解析を行うことにより、水素吸蔵・放出特性を解明し、既知の水素貯蔵物質の 更なる性能向上の可能性、より優れた水素吸蔵・放出特性を持つ新規非金属系材料の可能性を探求します。

 

7. 水素貯蔵物質の電子状態と構造安定性

imageNo.7  水素貯蔵材料への応用が期待されている軽元素系水素化物に対して、第一原理計算アプローチによりその電子状態と構造の安定性を解析します。 元素置換による科学的傾向や高圧下での物性の振る舞いを議論することから新たな水素貯蔵物質の設計を目指します。

 

メンバー

> ページ先頭へ戻る